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授業レポート
神奈川県三浦市

小網代の自然から、いのちのつながりを学ぼう

  • 2013.11

9月6日、神奈川県三浦市岬陽小学校の6年生(1クラス41人)を対象に、映像を使った教育プログラムを実施しました。
(上写真:映像を使って授業を進める三井住友信託銀行の石坂彩さん)

アカテガニの暮らす生物多様性豊かな小網代
小網代は、森があり、川が流れ、干潟から海にまでつながっている、流域全体がすべて含まれたとても貴重な自然が残されています。小網代の自然を守る活動を30年ちかく続けてきた、岸由二先生(慶応大学名誉教授)によると、ここにはなんと2000を超えるいきものが生息しているとのこと。
さらに調べるとその倍くらいのいきものがいる可能性もあるそうです。そんないきものたちにとっても重要な場所、小網代は神奈川県のナショナルトラスト運動によって守られてきました。

小網代の自然を象徴するいきものが、アカテガニです。アカテガニは森、干潟、海という流域全体を生息地とするいきものですから、アカテガニを守ることは、小網代の自然やそこに暮らすいきものたちを守ることに結びつきます。そこで今回の授業では、アカテガニを主人公とした映像を作成し、小網代の自然やそこにある自然やいきものたちのつながりについて、映像教材を使って学びを深めてゆきました。

 


(小網代の森は海へとつながる)


(小学校での打ち合わせの様子)

子どもたちの日常の学びと結びつけて
授業内容の作成にあたっては、岬陽小学校の先生方や三浦市教育委員会にご協力をいただき、子どもたちの教育ニーズや学校での日常の学習内容についてのヒアリングを行ないました。畑や海が近くにあり、豊かな自然環境に囲まれた岬陽小学校の子どもたちは、普段から自然と触れ合う機会をたくさん持っているそうです。

先生から学校から歩いていける距離にある宮川湾で「いきもの観察」を行ない、「いきもの図鑑」を作成したという話を受け、授業の中の問いかけでは、みんなのつくった図鑑について、ファシリテーターから質問を投げてみると、子どもたちからはイソカニやカメノテなど、たくさんのいきものの名前があがりました。

学習教材の作成にあたっては、小網代を守る活動を長年続けている、岸由二先生(慶応大学名誉教授)にご協力いただき、ご自身が理事長を務めているNPO法人小網代野外活動調整会議のカニパト(アカテガニの産卵を見守るパトロール活動)風景を撮影させていただきました。


(小網代を案内くださった岸由二先生)
小網代については、4年生の時に訪れたことがあるものの、そこに暮らすいきものについては特に学習したことはなかったという子どもたち。授業終了後、子どもたちからは「アカテガニのことは知らなかったので、勉強になった」「人の手で小網代の森が守られているということを初めて知った」「今回の授業を通じて、「みんなで楽しく自然のことを守ることについて学べてよかった」といった感想がありました。

担任の先生からは「子どもたちの身近な環境が題材だったのでよかったと思います。子どもたちもいきもののことを調べたりしていたので、今回の授業を通じて子どもたちの中に、いきものたちを守りたいという気持ちが深まってくれたのではないかと思います」というコメントをいただきました。

あしもとの自然から、地球の未来や世界で問題になっている絶滅や生物多様性の問題について考えを深めたこの授業の様子は、三井住友信託銀行 横須賀支店のフロアでも展示され、地域の人たちへも伝えられたそうです。これからも三浦の子どもたちの学びに役立てられたらと思います。