社西小学校(福井)「中池見湿地から自然豊かな福井の未来を考えよう」〜実施レポート〜
【中池見湿地から考える持続可能な地域づくり】
社西小学校(福井)「中池見湿地から自然豊かな福井の未来を考えよう」〜実施レポート〜
北陸新幹線の開通が予定されている福井県。ここには、渡り鳥や湿地を守るための国際条約「ラムサーム条約」に登録され世界的にも有名な、中池見湿地があります。この中池見湿地を開発計画から守ってきたのは、地域の人たちが立ち上げたナショナル・トラスト運動でした。自然豊かな福井県を未来に残していくには、どうしたらいいのでしょう。ナショナル・トラスト運動を支援する三井住友信託銀行のCSR事業として、中池見湿地を題材とした授業が、福井市立社西小学校の6年生約60人を対象に行われました。(2016年1月22日採録)
中池見湿地は、これまで新聞やニュースで何度も取り上げられています。けれども、県の北部・嶺北地域の福井市に暮らす子どもたちにとって、福井県南部(嶺南)の敦賀市に位置する中池見湿地は、あまり馴染みのないこの場所です。
そこで先ず、映像教材を使って中池見湿地がどんなところなのかを紹介しました。この湿地の特徴を知る上で重要なのは、その地形を知ること。そこでこの教材には、ドローンを使った上空からの撮影映像が効果的に使われています。
映像教材1では、中池見湿地に生息する動植物(72種類ものトンボ、60種類もの絶滅危惧種、3000種類ものいきものたち)や、地面の中に広がる、10万年以上の時間をかけてできた40メートルもの厚みのある泥炭層の存在についてを紹介。
その中池見湿地は、周りを山に囲まれ、ミネラル豊富な水が豊かな土地であることが大きな特徴です。
この豊かな水を活用し、江戸時代には多くの田んぼがつくられ、人々の生活を支えてきました。
しかし、時代の変遷と共に日本人の食生活が変化し、この土地で稲作を行う人が減ってくると、ここにガスタンクの基地をつくろうという開発計画がおこります。
「もし、自分たちの大切な場所が開発されそうになったら、みんなだったらどうする?」。問いかけに対し、子どもたちは数名のグループにわかれて、友だちと真剣に話し合います。
子どもたちからは「大人の人たちに頼んで、壊さないようにお願いしてもらう」「この土地の素晴らしさを伝える」「実際に来てもらって、ここがどんなにいい場所かをわかってもらう」など、多くの意見がでました。
では、実際、地域の大人の人たちは中池見湿地を守るためにどんなことをしたのでしょうか?映像教材3では、中池見湿地を守るために約1000人もの人たちがお金を出し合ったナショナル・トラスト運動の歴史や、ナショナル・トラスト運動に長年携わってきたNPO法人ウェットランド中池見の笹木智恵子さんの言葉が紹介されました。
社西小学校はビオトープ活動が盛んで、子どもたちは毎年、稲作やいきもの観察などの活動を行っています。授業にはビオトープ活動を支援している地元の「ホタルを守る会」の方々も見学に訪れ「足元の自然を守ることの大切さを子どもたちに伝えていきたい」と感想を語りました。
授業の様子は、NHK福井放送局や福井新聞ニュースでも紹介され、地域の人たちにも伝えられました。映像教材は、家庭での視聴用に専用のウェブサイトにも設置され(https://esd.ac/passwordclips)
この授業からの学びは、家庭にも共有されてゆきます。
参考:
三井住友信託銀行のESDへの取り組み http://www.smtb.jp/csr/esd/
NPO法人ウェットランド中池見 http://nakaikemi.com