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授業レポート
和歌山県田辺市

地域に身近な林業について学ぼう

  • 2014.03

ユネスコスクール、 ARを活用したESD学習授業を実施

地域社会において、子供たちの社会科授業は重要性を増してきている。環境対応した工業技術や情報社会の進展など変化する社会経済の流れの一方で、過疎化や林業や農業など地域を課題を学ぶ大切さが改めて問われている。

また僻地学校における教育格差を無くすために、ICT教育の導入が検討されているが、電子教科書とタブレットなどを活用した授業には教師の情報リテラシーが追いついていない現状と課題は決して少なくない。

そうした中で、グリーンエデュケーションは和歌山県のユネスコスクール認定校である田辺市立三栖小学校と協働し、全く新しい社会科授業を総合学習枠を活用して出前授業形式で実施した。

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これは、次世代型の拡張現実ブラウザー(AR)を活用し、学校で実際に使っている教科書と地域で制作した映像教材をクラウド上で紐付けし、児童のタブレット端末に表示するプログラムである。
この三栖小学校のある田辺市は森林面積が9割と、自然豊かな林業地域。しかし高齢化や後継者難が続き地域の林業振興においては課題が山積している。

この授業は五年生の2クラスの生徒たちが、自然環境と林業を学ぶ頁に記載されている社会科教科書の画像と地域の森や林業の仕事をわかりやすく説明した映像教材を補助的に映し出し学習した。
児童はグループにわかれ、iPadに投影される近くの森を見ることで親近感を感じながら「社会と地域、そして林業と環境の関連性」を自主的に学ぶことができたのである。

 

 

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教師自身が森の専門的な機能や林業の仕事など教える知識が弱い中で、ファシリテーター型の進行により、児童自らが発見と気づきを高める授業が実現できる新しいメソッドとも言える。
授業終了後は、いわゆる「どこでも窓」として帰宅してからも親の持つスマホやタブレットで視聴が可能であり、今注目されている反転授業や復習にも効果的にプログラムとして広げていける。
この授業プログラムの利点は、従来の教科書をそのまま活用できるところであり、グループ学習では様々な議論の入り口となるだろう。

さて、このARを活用したICT教育は、地域教育や環境教育だけでなく、理科の実験など幅広く応用がきく、児童に多様性を高めていく思考力向上プログラムかもしれない。
そのプロセスを踏んで、教師のICTリテラシーを高めていくことは間違いないであろう。

※この授業は和歌山県紀の国森づくり基金により支援頂きました